キリスト教用語聖書史上重要な聖書訳、特筆すべき聖書訳、現代社会で使用されている聖書訳などを掲載中です。当初「キリスト教用語」のページにて説明していましたが、項目数が増加、説明も限られたスペースでは限界があること。さらには時系列把握を容易ならしめるため、等々の理由により今回独立ページを設定し説明させていただくことと致しました。なお、目次には言葉の重複を避け、原則として「○○聖書」の「聖書」ということばは原則として略しております。
ドゥエ・ランス聖書
(英語読みではドゥエ・リームズ聖書)
the Douay-Rheims Bible(D-R)
この聖書はカトリックの聖書訳で、ギリシャ語、ヘブル語、アラム語原典を参照してはいるものの主としてラテン・ウルガータ聖書からの英語訳となっています。

1582年に新約聖書が刊行されましたが膨大な注釈・注記がついています。旧約聖書は1609年から1610年にかけ2巻もので発行されましたがやはり膨大な注釈がついており、これらの注釈・注記はプロテスタントに対する強烈な反論とカトリックの擁護を表しています。その背景としては、当時英国に強い影響を与えていたプロテスタントの宗教改革に直面し、カトリックの伝統を支持するためのものでした。翻訳は大陸におけるカトリックのセンターで、聖職者を再びカトリックに立ち帰らせる目的で設立されたフランスのドゥエにある大学(the English College at Douai)で英国のカトリック系の学者により翻訳されました。
この翻訳はそれまでの親しみやすい翻訳とは異なり、その英語は口語ではなく教会用語に満ち、プロテスタント訳がカトリックから異なってしまった章句についての解説がついています。この翻訳は1750年にChalloner司教によって改訂されていますが、引き続きドゥエ=ランス聖書と呼ばれ、細かい改訂を重ねながら1941年まで英語圏におけるカトリック標準訳となりました。

英語圏のカトリック教会ではカトリック訳である新エルサレム聖書や新アメリカ聖書が一般的に使用されていますが、ドゥエ・ランス聖書のシャロナー司教による改訂版は今日のローマカトリック教会使用聖書の選択肢のひとつとなっています。

なお、新約聖書は上述の大学が一時的にランスに移転していたときに刊行されたため、ランス新約聖書とも呼ばれ、旧約聖書は大学が再びドゥエに戻ったときに発行されたため、一般的にはドゥエ版旧約聖書と呼ばれています。 したがって聖書全体はドゥエ・ランス聖書と呼ばれています。

驚くべきことにこの聖書は当時人気のあった(敵方である)プロテスタントのジュネーブ聖書にならい、サイズはカトロ版(四つ折り版)で、ゴシック体ではなくローマ体活字を使用しています。ランス新約聖書はジェームズ王欽定訳(KJV--the King James Version)の翻訳にはあまり影響を与えることなく、ついには英国国教会における関心を失いましたが、後のローマカトリック英語聖書訳のベース(基礎)となりました。

(参照文献: Wikipedia英語版last modified on 2 August 2009 at 04:32

 
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