キリスト教用語聖書史上重要な聖書訳、特筆すべき聖書訳、現代社会で使用されている聖書訳などを掲載中です。当初「キリスト教用語」のページにて説明していましたが、項目数が増加、説明も限られたスペースでは限界があること。さらには時系列把握を容易ならしめるため、等々の理由により今回独立ページを設定し説明させていただくことと致しました。なお、目次には言葉の重複を避け、「○○聖書」の「聖書」ということばは原則として略しております。
ジュネーブ聖書
(
the Geneva Bible)


ジュネーブ聖書はプロテスタント英語訳で、ジェイムズ王欽定訳に先立つこと51年。英語訳の歴史上大変重要な意義をもつ聖書です。英国がプロテスタントを迫害したエリザベス1世により統治されていた時代には多くのプロテスタント学者はスイスのジュネーブに逃れましたが、カルヴァン(John Calvin)やベザ(Theodore Beza--フランスの改革派神学者)が主として信仰や神学的リーダーシップを発揮中で、カルヴァン派の学者がこの聖書の翻訳にかかわりました。訳の評価に関してはティンダル訳、カヴァディル訳や大聖書の英訳に比較してより正確であるとされています。またこれまでのゴシック体ではなく今日一般に使用されているローマン体活字を用いていることや番号による章節分けを英訳聖書としてはじめて行った聖書でもあります。

1557年に新約聖書が、旧約聖書を含む聖書全体が1560年に刊行されましたが、英国では1575年まで印刷されませんでした。 ジュネーブ聖書は旧約聖書全体が直接ヘブル語から翻訳されたものとしては最初の聖書です。

この聖書はウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)やジョン・ノックス(John Knox--スコットランドの宗教改革者で歴史家、長老主義の創設者)、ジョン・ダン(John Donne--イギリスの詩人、聖職者)、天路歴程の著者であるジョン・バニヤン(John Bunyan--イギリスの説教者、宗教文学者)などにも読まれました。またメイフラワー号でアメリカに持ち込まれた聖書のひとつでもあります。多くの非国教徒(英国国教会に属さない英国のプロテスタント)や英国内戦時代のオリバヴァー・クロムウェルの兵士たちによっても使用されました。

ジュネーブ聖書は力強く、生き生きとした表現により、多くの読者は、エリザベス1世の統治下にある英国国教会の公認訳である主教聖書を引き離し俄然この聖書の方を好んだものでした。

注釈はこの聖書の特徴でもありますが、性格上、カルバン主義やピューリタン主義に基づき、カトリック批判の部分もありますので英国国王ジェームズ1世と同様英国国教会の保守的プロテスタントには好まれず、同王はそれにかわるものとして欽定訳(Authorized Version)またはジェームズ王聖書の作成を命じることとなりました。また同じ理由でジュネーブ聖書はエリザベス1世の治世下では主教聖書の製作や後には国教忌避のカトリック界によるドゥエ・リームズ聖書(ウルガータ聖書からの翻訳)の誕生を促すこととなりました。

(参考文献:Wikipedia英語版last modified on 28 July 2009 at 10:22、ブリタニカ国際大百科事典、Britannica Concise Encyclopedia)

  
 
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