キリスト教用語聖書史上重要な聖書訳、特筆すべき聖書訳、現代社会で使用されている聖書訳などを掲載中です。当初「キリスト教用語」のページにて説明していましたが、項目数が増加、説明も限られたスペースでは限界があること。さらには時系列把握を容易ならしめるため、等々の理由により今回独立ページを設定し説明させていただくことと致しました。なお、目次には言葉の重複を避け、「○○聖書」の「聖書」ということばは原則として略しております。
今日の言葉による新約聖書
(NTLT−The New Testament in the Language of Today)
ウィリアム・F・ベック(William F. Beck)による現代語聖書です。彼はルーテル派牧師の息子として生まれ、自身も1927年にセントルイスのコンコーディア神学校卒業後16年間は牧師職、続いてにセントルイスで*ルーテル教会ミズーリ・シノード(ミズーリ派 LCMS−Luthern Church-Missouri Synod)の出版および宣教師教育事務所に席をおき、1946年にコンコーディア出版社の編集者となり、教会学校用教材や青年向けの伝道用小冊子や機関誌の製作に携わりました。

ベックは1930年代〜1940年代にはアイオワで牧師職のかたわら、新約聖書の一部を翻訳しはじめていました。 当時、教会ではジエイムズ王欽定訳(the King James Version)を使用していたのですが、教会学校の教師でさえ、この聖書を理解するのがむつかしかったことに気付きました。そこでもっと簡単なテキストが必要だと確信するに至りました。それがこの聖書の成立の背景です。

内容は形式的に過ぎることなく、読書レベルを下げました。ベックは保守的な立場ではありましたが、それでも一般信徒が、たとえば、「正当化(justification)」という言葉や「恩寵(grace)」というような重要な神学用語の意味を知ることを期待するのは実際的ではないと考えました。そこで用語を置き換え、たとえば「正当化される」、「義とされる」という意味の”justified”を”become righteous”としたり、「恩寵」、「恵み」という意味の”grace”を”love”という言葉に置き換えたり、文語的な響きのある言葉たとえば「祝福された」という意味の”blessed”を”happy”という平たい言葉に置き換えました。このようにして、ベックのテキストは口語調の常套句や省略語で一杯になってしまいました。

1963年版の序文でベックは、新約聖書の言葉というものは人がお茶の時間で話すような言葉−”at their coffee and doughnuts”であると述べています。新約聖書の言葉に関し、このような考え方は1930年代〜1940年代に米国の学者の間で流行しましたが、しかし、1960年代には殆どその姿を消してしまいました。

なお、この聖書訳は原語の意味が立体的に浮彫して理解できるよう、聖句ごとに代表的な26の英語訳を対比(parallel)表示するザ・ワード(THE WORD-The Bible from 26 Translations)にも選ばれている訳の一つです。

*ルーテル教会ミズーリ・シノッド(ミズーリ派 LCMS−Luthern Church-Missouri Synod)

(参照サイト:Bible Research)

  
 
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