キリスト教用語聖書史上重要な聖書訳、特筆すべき聖書訳、現代社会で使用されている聖書訳などを掲載中です。当初「キリスト教用語」のページにて説明していましたが、項目数が増加、説明も限られたスペースでは限界があること。さらには時系列把握を容易ならしめるため、等々の理由により今回独立ページを設定し説明させていただくことと致しました。なお、目次には言葉の重複を避け、「○○聖書」の「聖書」ということば原則として略しております。
新アメリカ標準聖書
(NASB--the New American Standard Bible
   
新アメリカ標準聖書(NASB--the New American Standard Bible以下NASBと略)はアメリカ標準訳(ASV)1901年版の改訂訳で新約聖書は1963年に、旧約を含む聖書全体は1971年、最新版は1995年に刊行されました。版権はロックマン財団(the Lockman Foundation)が所有しています。

NASBは20世紀における聖書英語訳で、一般的には直訳方式の最たるもののひとつと考えられています。序文にはこの聖書の四つの目的が記されています。

1.原典のヘブル語、アラム語、ギリシャ語の意味に正確であること。
2.文法的にも正確であること。
3.理解しやすいものであること。
4.主なるイエス・キリストにみことばが与える正しい位置づけを行うものであり、したがってこの業績は決して個人のものとされてはならないこと。

以上により、ASVを翻訳の基礎に置きつつも、聖書学的に確立したヘブル語、アラム語、ギリシャ語テキスト(底本)の原点に立ち帰り、可能なかぎり直訳方式を採用しています。ヘブル語テキストは死海文書とともにルドルフ・キッテル(Rudolf Kittel)の「Bibilia Hebraica」の第三版が使用され、NASBの1995年版には「The Biblia Hebraica Stuttgartensia」(日本の新共同訳聖書の底本でもある)が参照されました。ギリシャ語に関してはエベルハルト・ネストレ(Eberhard Nestle)のギリシャ語新約聖書(Novum Testamentum Graece)が1971年版および1995年の改定版に使用されました。

原義に近い直訳であり、かつ現代訳が求められていることに鑑み、直訳方式を採用しつつも現代英語訳を実現することに努力が払われました。しかし直訳が現代の読者にとって受け入れ難いものである場合にはより、慣用表現的(意訳的)な方向に修正されました。しかし、そのような場合にはより直訳的な表現が脚注に示されました。NASBの最大の長所は原典に対する信頼と忠実さですが、そのことはとりもなおさず、他の聖書の直訳と同様、底本の意味の多義性を認めることともなっています。 これに伴う弱点は読みやすさと直訳方針が一般読者には混乱を招く原因ともなっています。

ロックマン財団はいろいろな教派から保守的な聖書学者20名を招き、1995年、NASBの改訂版を「NASB Updated Edition」として出版しましたが、これはしばしば「Updated NASB」または「NASB95」と呼ばれています。そして以降は聖書全体が出版された1971年版に取って代り、単にNASBと呼んでいます。1995年改定版は陳腐化された用語や文体の直訳表現を取り除いたり、取り替えたりして、初版よりは直訳方針が少々修正され、さらには包括用語(性差のない用語)を85箇所に亘り採用しています。 しかし、NASBは依然として今日の教会で広く使用される英語聖書のうちでもっとも直訳的なものとなっています。

なお、この聖書訳は原語の意味が立体的に浮彫して理解できるよう、聖句ごとに代表的な26の英語訳を対比(parallel)表示するザ・ワード(THE WORD-The Bible from 26 Translations)にも選ばれている訳の一つです。

 (参照資料:Wikipedia英語版last modified on 3 August 2009 at 15:21

  
 
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