キリスト教用語聖書史上重要な聖書訳、特筆すべき聖書訳、現代社会で使用されている聖書訳などを掲載中です。当初「キリスト教用語」のページにて説明していましたが、項目数が増加、説明も限られたスペースでは限界があること。さらには時系列把握を容易ならしめるため、等々の理由により今回独立ページを設定し説明させていただくことと致しました。なお、目次には言葉の重複を避け、「○○聖書」の「聖書」ということばは原則として略しております。
改定標準訳カトリック版
(RSV-CE--the Revised Standard Version Catholic Edition)
改定標準訳カトリック版(RSV-CE--Revised Standard Version Catholic Edition--以下RSV-CEと略)はカトリック用に編纂された改定標準訳(RSV--Revised Standard Version--以下RSVと略)で、保守的なカトリック学者や神学者の間で広く使用され、最も正確で文学的でありカトリックにふさわしい聖書訳のひとつであると評価されています。

RSV-CEは時としてイグナティウス聖書(Ignatius Bible)と呼ばれることがありますが、以下の段階を経て発行されました。

○新約聖書(1946年)
○旧約聖書(1952年)
○新約聖書カトリック版(1965年)
○アポクリファを含む旧約聖書カトリック版(1966年)
○第二カトリック版(イグナティウス版 2006年)

RSVはジェームズ王欽定訳以来の伝統に立つものです。すなわちジェームズ王欽定訳は英国において1885年に改訳され、米国では1901年にはアメリカ版改訂訳であるアメリカ標準訳(ASV--American Standard Version--以下ASVと略)が、さらにASVの改訳であるRSVが1952年に誕生しました。

プロテスタントRSVの発行者である米国キリスト教会協議会は英国カトリック聖書協会とRSV-CEを発行する取り極めを行ない、1965年にRSV-CE新約聖書が、翌1966年にはRSV-CE新旧約完全訳聖書が発行され、大部分の第二正典が旧約聖書に加えられました。 ただし、マナセの祈りと第一エズラ記、第二エズラ記はカトリックの正典ではないとして省かれました。

新改定標準訳(NRSV--New Revised Standard Version--以下NRSVと略)が1989年に発行されましたが、性包括用語を機械的に使用していたため、多くのの学者の間では評価されず、とくにカトリック権威筋には否定されてしまいました。RSV-CE第二版の発行が米国キリスト教会協議会と取り極められ、2006年イグナティウス・プレスにより発行されました。


RSVとRSV-CEとの顕著な違い

RSV-CEは1962発行のプロテスタントRSVに基づいています。カトリック版の編集者は旧約聖書テキスト(本文)には何ら変更を加えませんでしたが第二正典の7巻を伝統的なカトリック聖書の配列順序に従い付け加え、さらに旧・新約聖書の末尾には説明・解釈注を加えました。詩編ではヘブル語聖書方式を反映するプロテスタント版の章節番号を残していますが、括弧内にギリシャ語聖書七十人訳(Greek Septuagint)とラテン語ウルガタ聖書(Latin Vulagate)に基づくカトリック方式の章節番号を表示しています。新約聖書に関してはカトリックの理解と伝統にあわせ、異読のある箇所については小規模な変更が加えられています。 比較的重要な変更に関しては、ルカによる福音書1章28節の天使のマリアへの挨拶で"full of grace"(一杯の恵み)という句を使用したり、ヨハネによる福音書に姦淫の場で捕らえられた女の物語を復活させたり(7章53節〜8章11節)、マルコによる福音書に終わりの長い場面を加えたことです。(16章9〜20節) プロテスタント版で正当性に疑いがあるとして脚注に収められた章句はカトリック版で復活させました。(ルカによる福音書22章19〜20節、24章5節、12節、36節、40節、51〜52節) 他の箇所では語句の変更があり、本文の数箇所は脚注と置き換えられました。さらに、新約聖書の貨幣の価値表記についての脚注はその価値を得るのに平均的な労働者が要する時間単位に書き換えられました。(たとえばデナリはもはや20セントという表現ではなく、1日の賃金という具合に変更されました。) 「ヨハネの黙示録」と呼ばれる黙示録には副題として"The Apocalypse"(啓示)が付け加えられました。


今日のRSV-CE

1989年にNRSV(新改定標準訳)が出版された時点でRSV-CE1966年版は絶版となりましたが、多くのカトリック教徒はNRSVが性包括用語を大々的に使用していることに拒否反応を示しました。性包括用語(性差のない言葉)を使用していることがローマ教皇庁が典礼や英語訳教理問答集においてNRSVを拒絶する主たる理由でもありました。かくして、1966年版RSV-CEはイグナティウス・プレスが、1994年にイグナティウス聖書として再発行したことにより復活しました。1966年版RSV-CEはイグナティウスとオックスフォード出版局により、いまなお発行されています。"-CE" (カトリック版)聖書はカトリック教会の英語版教理問答集に使用される聖書であるというのはよくある誤解です。カトリック教理問答の初版として使用された英語訳はNRSVとRSVの非カトリック版でした。1989年発行のNRSV-CEはNRSVのカトリック使用として編纂されたものです。NRSVはカトリック教会教理問答のアメリカ版に使用されましたが、NRSV非カトリック版はいくつかの許容しがたい箇所で性包括用語があるとして、典礼で使用することにはローマ教皇庁が拒絶しました。これらの事項を別にすれば先輩であるRSVと同様に逐語訳としても優れています。(すなわち、逐語訳ですが文学的でもあります。)


典礼使用と承認

RSV-CEのテキスト(本文)は米国の典礼で使用することが許されています。NRSVの許可は取り消されましたが、RSV-CEは取り消されてはいないのです。RSV-CEは1986年改定新約聖書で性包括正版と共に米国で典礼テキストとしての使用が許可されています。RSV-CEは米国とカナダ以外にイングランドとウエールズ、オーストラリア、インドやその他の多くの英語圏での時課の典礼のための英語訳として使用することが求められています。

イグナティウスプレスはRSV第二カトリック版に基づく聖書日課を発行しています。アンティル諸島(西インド諸島)司教会議での使用が認められています。イグナティウス・プレスはこれら諸国がこの司教会議の例に倣うことを期待していますが、この聖書日課は現在のところ米国で使用することは認められてはいません。なお、新アメリカ聖書に関してはヴァティカンのウエブサイトでも使用され、また米国における公式の英語カトリック訳としての地位を保っています。オーストラリア、ヨーロッパではエルサレム聖書初版を使用しています。

(出典:Wikipedia英語版last modified on 8 August 2009 at 19:37


  
 
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