![]() |
![]() |
本項はよくある質問の一つですが、下記ホセ・ヨンバルト司祭による「カトリックとプロテスタント」「サンパウロ」出版 日本図書協会選定図書に簡潔な説明がありますので、その多くを参考とさせていただきました。 なお、まとめて説明するには教理、教派のさまざまな違いがありますので、代表的な項目に絞らせていただき、しかも例外は多々あることを念のためご了承願いたいと思います。 それからこれはとても大切なことですが、カトリックもプロテスタントも信じる神は父・子・聖霊の三位一体なる同一の神であり、したがって、イエス・キリストも同一であること。聖書も基本的には同一であること。近年はカトリックとプロテスタントによる画期的な共同作業の成果による「新共同訳」が誕生し、この聖書はカトリックもプロテスタントの多くが使用していることにも着目していただきたいと思います。(ただし、カトリックの場合はプロテスタントが典外書として扱う続編が付いています。) 1.「教会」理解について カトリックでは目に見える人間となった神(イエス・キリスト)の救いの業をすべての人に与え続けるために、キリスト自身ははただ一つの目に見える教会を直接意思で作った。そしてその教会は神と人間の間に介在するものではなく、むしろ教会の中で人間が直接キリストに結ばれるものと考えます。 一方、プロテスタントでは教会という組織はあるものの、これは人間の作ったものであり、真の教会とは目に見えない信仰によって結ばれた信者たちのことであり、信者を拘束するような教会の権威は認められないと主張します。目に見える教会は信者の意思に基づくもの、すなわち、民主主義的な制度であるととらえられます。(上記ホセ・ヨンバルト司祭) 2.教職名と内容の違い カトリックは神父。プロテスタントは牧師と呼びます。 神父(Father)とはローマカトリック教会で叙階(カトリックの秘蹟(サクラメント)の一つ)を受け、儀式や典礼を執行する司祭(priest)の敬称です。 (聖公会や東方正教会でも司祭と呼称) 司祭は生涯をもっぱら神職に献げるため独身です。 これに対して信徒の霊的ケアや伝道の責任を持つプロテスタントの教役者・教職者は牧師(pastor)といいます。(例外もあり、聖イエス会では司牧という職名を使用しています。) プロテスタントにおいて、牧師は神のもとでは一般信徒と変わらず身分において平等とされるため(*万人祭司-universal priesthood)、妻帯も許されています。 司祭の上位聖職者は司教(bishop)といい、司教区を統括します。(聖公会や東方正教会では主教と呼称) 司教座(主教座)のある聖堂は大聖堂(Cathedral--カテドラル)と呼ばれています。なお、プロテスタントでも司教・主教に相当する職として、北欧およびドイツのルター派教会、アメリカのメソジスト教会、プレスビテリアン(長老派)教会などでは監督と呼ばれる教役者・教職者を置いています。 ついでながら司祭の下部聖職者は助祭、牧師の下部教役者・教職者は伝道師といいます。 3.サクラメント(Sacramento--秘跡) カトリックにはイエス・キリストが制定したとされる秘跡があります。秘跡は神の恩恵を示し、神の働きによってそれを与える「しるし」です。すなわち、目に見える形式(跡)で、目に見えない恵み(秘)が与えられることです。カトリックでは洗礼、堅信、聖体、罪のゆるし、病者の塗油、叙階、婚姻の7つがありますが、プロテスタントでは洗礼、堅信、聖体(聖餐)以下は人間の定めたものとして、これを認めません。 4.洗礼名 洗礼を受けると日本のカトリックの場合は洗礼名が授けられますが(ただし、外国はなし)、大半のプロテスタントには洗礼名はありませんが、たとえば聖イエス会には洗礼名があります。 5.聖母マリアの扱い カトリックではいわゆる「聖母マリアへの祈り」などマリアは聖家族の一員として扱い、教会堂内にはイエスの像とならびマリアの像が見られますが、プロテスタントではマリアは普通の人間として考えます。讃美歌の「聖しこの夜」ではカトリックは「救いの御子は御母の胸に・・・」とあるのに対して、プロテスタントの場合は「救いの御子は馬槽の中に・・・」となっています。なお、マリア信仰と呼ばれるものの背景は歴史的にも深いものがあり、教理とも絡みますので、ここでは表層的な説明とさせていただきます。 6.離婚問題 カトリックでは信者同志が結婚し、上記秘跡により結婚が成立した場合には離婚は認められません。英国のヘンリー8世の離婚問題がローマ法王との間でこじれたことに端を発し、そこに政治的な思惑も絡んで、英国のカトリックはローマから離れ、英国国教会が生まれたのは有名な話です。 参照文献:「カトリックとプロテスタント」ホセ・ヨンバルト司祭著(「サンパウロ」出版) 参照文献:ブリタニカ国際大百科事典 |
![]() |
![]() |
---|