日本基督教団 西神戸教会月報
2013年05月号

☆「見よ、わたしの選んだ僕。わたしの心に適った愛する者。この僕にわたしの霊を授ける。彼は異邦人に正義を知らせる。彼は争わず、叫ばず、その声を聞く者は大通りにいない。正義を勝利に導くまで、彼は傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さない。異邦人は彼の名に望みをかける。」《マタイによる福音書12章18〜21節》

 ペンテコステ《聖霊降臨日》を迎えました。教会暦として、様々な日が与えられています。その中でクリスマスは、キリスト者でなくとも良く知る日であり、多くの人が大喜びして、その日をイエス・キリストの誕生日と知りつつ、祝い過ごしています。また、イースターもイエス・キリストの復活日として、認知度はかなり高くなりつつあり、知る人が増えてきています。しかし、私たちが今迎えているペンテコステは、非常に知る人が少ない日なのです。しかし、たとえ、世の人があまり知らないとしても、教会にとっては、なくてはならない大切な日です。ある人々は、この日を「教会誕日」とも呼んでいます。イエスが十字架での死の後に復活され、40日の間弟子たちに現れて、大切なことを伝えて天に昇られる際に、神様からの約束として語られていた、聖霊が与えられたのです。そこから、弟子たちの本当の歩みが始まりました。

 聖霊降臨日の出来事については、聖書の使徒言行録2章で語られています。弟子たちが、天に上げられる前の復活したイエスの言葉(ルカ24:46〜49)に従い、エルサレムに留まっていた時、一同が集まっている所に、神様から聖霊が与えられました。そして弟子たち一人一人が、聖霊に満たされると「"霊"が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。」(2:1〜4)のです。その出来事により、弟子たち自身が、聖霊の力によって、宣教の働きに導き出されて、教会が誕生しました。今まで、目に見えて、いつも側にいてくださるイエスを頼りにしていた弟子たちが、神様からの見えない聖霊の力に満たされて自立の歩みへと一歩を踏み出しました。その歩みを正しく導くために、イエスの歩みの中で語られてきた神の言葉が力を発揮するのです。

 イエスは、神様の霊を受けて、正義を行う者として「彼は争わず、叫ばず、その声を聞く者は大通りにいない。正義を勝利に導くまで、彼は傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さない。」存在として示されています。自分の正しさを主張するのではなく、相手の立場を受け入れて、正しさへと導いて行くのです。神様の霊によって生きる者は、他者に対して力を振りかざし、無理やり正義を勝ち取る様なことはせず、とことんまで相手の弱さを受け止めながら、正義がもたらされるのを待つのです。それは、優しさと配慮に満ちた姿として、思い描くことができます。そんなイエスの姿によって、全く立場と状況の違う異邦人でさえも、神様の与える正しさを知ることができるのです。更にイエスの存在と歩みにおいての出会いと交わりは、それだけに留まらず、様々な枠や壁を越えて「異邦人は彼の名に望みをかける。」と言われる程大きな影響を人々に与えるのです。私たちは、神様より聖霊を受けて、どのような歩みをしているのでしょうか。私たちは、与えられている聖霊によって、神様の御心を知らされ、豊かな歩みへと導かているのです。ペンテコステが与えられた事を喜び、感謝しましょう。
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