日本基督教団 西神戸教会月報
2014年1月号

☆イエスが「黙れ。この人から出て行け」とお叱りになると、汚れた霊はその人にけいれんを起こさせ、大声をあげて出て行った。人々は皆驚いて、論じ合った、
「これはいったいどういうことなのだ。権威ある新しい教えだ。この人が汚れた霊に命じると、その言うことを聴く。」イエスの評判は、たちまちガリラヤ地方の隅々にまで広まった。《マルコによる福音書1章25〜28節》

 2014年という新しい年が与えられました。どんな一年になるのでしょうか。誰にも分かりません。しかし、それぞれが、神様に与えられた日々を感謝し、豊かに歩むことで、より良い一年となることでしょう。私たちの思いもよらない出来事が起こるかも知れません。それを私たちがどう受け止めて、一歩を踏み出すかで、全ては変わっていくのです。私たちは、とくに近年、突然の大きな自然災害の中で、人間の無力さを経験してきました。しかし、どうすることもできない現実の中で、人と人とが助け合い、繋がり合い、励まし合うことで、生きる道が拓かれ、命が保たれ歩むことができることを知らされました。今年1月17日、阪神淡路大震災より19年を迎え、3月11日には東日本大震災より3年を迎えます。その他にも、台風や集中豪雨等で、多くの人が苦しみ・悲しみを経験しました。その都度、多くの人の愛と優しさが、命の営みを支えてきたのです。その悲しみや苦しみや困難な状況の中でも、恵みの数々が様々な事柄として与えられたことを、しっかりと受け止め、大切にしたいと思います。

 イエスは、世の働きに一歩踏み出す前に、ヨハネから洗礼を受けました。そしてその時、イエスは、天より神様からの助け手としての聖霊を受け「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」との声を聴いたのです。そこでイエスは、歩み出す勇気と力が与えられました。その後イエスは、荒れ野での誘惑に勝利して、神様に押し出されて、世の歩みへと向かったのです。マルコによる福音書によると、イエスは様々な病いで悩み、苦しむ人々を癒すことにより、この世での働きを始めました。神様の愛と恵みを語り伝え、一人一人が喜びに満たされる様に、まず、困難の中にある人々と共に歩まれたのです。この出来事は、人々の驚きとなりました。何故なら、今まで誰にも癒すことのできなかった病いを、イエスは取り除いてくださったのです。この驚きが、人々をイエスのもとへと導きました。人々は、何でこんなことが起こるのか、理解できない状況の中で、イエスの語る言葉や行動に力があり、苦しむ人・悲しむ人が新たに生きる道を得て、歩み出す姿と出会い"イエスの評判は、たちまちガリラヤ地方の隅々にまで広まった。"という状況が生じるのです。イエスが会堂で語ったことを受けて、人々は「権威ある新しい教え」と評価をしています。それまで、人々が聴いてきたものとは、質を異にするものであったのです。そのことを聖書は「律法学者のようにではなく、権威ある者としてお教えになった」と記しています。それは、人々を強制したり、服従させるものではなく、聴く者が納得するカあるものとして語られたのです。イエスの言葉は、いつも行動を伴うものでした。だからこそ、癒しが与えられたのです。イエスは、"人を生かす言葉"と行いによって、人の本来あるべき姿を取り戻したのです。人は、この世を生きることの中で、色々なもの(者・物)によって、苦しみを負いながら歩む者となるのです。イエスの言葉は、そんな囚われや束縛の中で苦しむ者を、解き放ち、人として生きる喜びで満たしてくださるのです。
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