日本基督教団 西神戸教会月報
2014年12月号
☆彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。 (ルカによる福音書2章6・7節) ☆天使は言った。「恐れな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。 (ルカによる福音書2章10~12節) クリスマスおめでとうございます。アドベントに入り、アドベントクランツのローソクを1本ずつ灯しながら、クリスマスの出来事に心を向けて過ごしてきましたが、最後4本目のローソクに火が灯りました。待ちに待っていた喜びの日が来ました。私達一人一人の心の中に、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子としてのイエス様は、来てくださっているでしょうか。当時の宿屋ように「彼らの泊まる場所がなかった」ということにはなっていませんか。 クリスマスの出来事には、喜びの部分と悲しみの部分とがあります。イエスの誕生の場面を見ても分かります。母マリアと父ヨセフにとって、初めて与えられた子どもを、飼い葉桶の中に寝かせなくてはいけなかった事は、悲しみや、やり切れない思いを伴うものであった様に思います。でも、どんな場所であったとしても、与えられた大切な命の喜びを消し去るものではありません。暗きに輝く光が、そこにあるのです。「宿屋には彼らの泊まる場所」もなく、誰も知ることのない片隅での出来事ではありましたが、この喜びの出来事を共に味わってくれる人々が、神様から与えられたのです。その人々への"しるし" こそが"布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子" だったのです。この誕生の場所には大きな意味がありました。そこに急いで訪れた人々とは、羊飼いたちだったのです。羊飼いは、宗教的にも社会的にも必要な欠かすことのできない大切な仕事を担っていました。しかし、周囲の人々は、あまり好ましい仕事とはせず、様々な差別や偏見で、彼らを排除していました。神様は、そんな中でも、大切な仕事を夜も寝ずに果たしていた羊飼いに、天使によって"民全体に与えられる大きな喜び" という嬉しい知らせを伝えたのです。しかも天使は"あなたがたのために救い主がお生まれになった。" と言うのです。その言葉を真実のものとするかのように、生まれた場所が羊飼いの生活の場、いっも慣れ親しんでいる場所だったのです。天使の言葉は"あなたがたのために" "あなたがたへの"という語りかけでした。羊飼いに対して語られた、神様からの優しい・暖かい心のこもった身近で直接的な限定した"あなたがた" なのです。しかもそれは、とても具体的なものだったのです。今まで、周囲の人から身近に語りかけられることのなかった羊飼いにとっては、こんな嬉しいことはありません。神様に見守られていることが実感できたひと時だったと思います。神様を信じて、彼らは歩み出したのです。 クリスマスは、マリアとヨセフ、それぞれへのあり得ないお知らせから始まりました。あまり嬉しい状況ではありませんでしたが、彼らは、神様が共に居てくださることを信じて神様に身を委ねて歩み出したのです。 |
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