日本基督教団 西神戸教会月報
2018年2月号

☆それから、"霊"はイエスを荒れ野に送り出した。イエスは四十日間そこにとどまり、サタンから誘惑を受けられた。 その間、野獣と一緒におられたが、天使たちが仕えていた。            (マルコによる福音書1章12・13節)

☆ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤへ行き神の福音を宣べ伝えて、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」と言われた。                      (マルコによる福音書1章14・15節) 

 今年の冬は、とても寒い日々が続いています。大雪のために、困難な状況があちらこちらで生じています。極寒の中で、心も体も冷たさで凍えそうな人々に、温かい明るい光が与えられることを願います。そんな寒さの中だからこそ、時折与えられる太陽の光が、いつも以上に明るく暖かく感じられ、嬉しくなります。しかし、それぞれの状況や感覚に応じて、その受け止め方が異なることも当然あります。せっかく神様が人を愛し与えてくださっている恵みを素直に受け止め、感謝出来るものでありたいと願います。
 さて、イエスは、神様から委ねられた働きを世に出て行うに際して、ヨハネから洗礼を受けて歩み出しました。その洗礼の時、"霊"が鳩のように降ってきて、天からの「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が聞こえました。イエスは、天からの霊と声により力を受けて世に出て行きます。しかし、すぐにイエスは世に出て行けたのではなく、その前に"霊"がイエスを荒れ野に送り出し、サタンからの誘惑(試練)に逢わせた後に、時を得て世に登場するのです。この荒れ野での出来事なしには、この世には出て行けなかったのです。荒れ野の出来事は、3つの福音書で記されていますが、その中でマルコは、サタンからの誘惑の内容は記さず、ただ40日間、荒れ野でサタンから誘惑を受けられ、野獣と天使と共に過ごされたと記しているだけです。他のマタイやルカの福音書には、サタンの言葉や誘惑の詳しい内容が記されています。マルコにとって、その内容よりも、そんな荒れ野の中でも神様の守りがあったことを伝えているのではないでしょうか。荒れ野という荒廃の地、不毛の地で、飢えや渇きを覚えつつ、イエスは40日間を過ごしました。そこには野獣がいましたが、天使が守ってくれました。荒れ野であっても、サタンの誘惑の中にあっても、神様が共に居てくださり、支えてくださいました。その経験が、その後の様々な困難な場面において、神様の愛と恵みを信じ、色々な助けと支えと守りが与えられていることに感謝し、豊かな養いを受けて歩む道を拓いたのです。この世で"霊"を受け、神様と共に歩むものとされたイエスは、荒れ野での出来事を越えて、神様によって示された時に世に歩みを進めました。その時とは、イエスの道を整えてきた先駆者である洗礼者ヨハネが捕らえられた後のことです。イエスが登場するまで、神様からの使命と役割を受けて、人々に悔い改めと洗礼を与えてきたヨハネが、世の力によって、その道を阻まれた時に、イエスの歩みが始まるのです。そして、その時にイエスは、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」と人々に語ったのです。今、大切なこと、今為すべきことをイエスは語られました。わたしたちも、与えられている時と状況をしっかりと受け止めて、自らの為すべき役割を果たしましょう。
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